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なぜ「層間変形角」が重要?準耐火構造と耐震等級3、そしてフラット35を繋ぐ家の品質

2025.10.09
なぜ「層間変形角」が重要?準耐火構造と耐震等級3、そしてフラット35を繋ぐ家の品質

前回の記事では、最高の耐震性能を示す「耐震等級3」とその性能を裏付ける「許容応力度計算」の重要性についてお話ししました。今回はさらに一歩踏み込み、建物の「品質」を左右する、設計の裏側にある非常に重要な指標「層間変形角(そうかんへんけいかく)」について解説します。

この専門用語は、単に建物の強さを示すだけでなく、「準耐火構造」の性能を保証し、ひいては「耐震等級3」の信頼性や「フラット35」の金利優遇にも繋がる、家づくりの根幹をなす考え方です。

「層間変形角」とは、建物の“しなやかさ”と“硬さ”の指標

層間変形角とは、地震の横揺れによって建物が変形した際に、各階がどれだけ傾いたかを示す角度のことです。

  • 層間変形角が小さい → 建物が硬く、揺れによる傾きが少ない。
  • 層間変形角が大きい → 建物が柔らかく、揺れによる傾きが大きい。

建築基準法では、大規模な地震でも建物が倒壊しないよう、この層間変形角を1/120ラジアン以内に抑えることが定められています。しかし、これはあくまで「倒壊しない」ための最低基準です。

① 準耐火構造と層間変形角の関係:「火に強い壁」を守る

木造の「準耐火構造」は、火災が発生しても燃え広がりにくくするために、壁や天井に厚い石膏ボードなどを施工します。しかし、地震で建物が大きく変形(層間変形角が大きく)してしまうと、この石膏ボードにひび割れや脱落が生じ、そこから火が燃え広がる危険性があります。

つまり、せっかくの準耐火構造も、地震の揺れで壊れてしまっては意味がないのです。そのため、準耐火構造の住宅では、地震時にも壁などの防火被覆が損傷しにくいよう、層間変形角を建築基準法より厳しい1/150ラジアン以内に抑える(建物をより硬く造る)ことが求められます。

この確認方法には、主に2つの方法があります。

  1. 許容応力度計算を行う:前回ご説明した、建物のあらゆる力のかかり方を詳細に計算する方法です。これにより、層間変形角が1/150以内であることを直接的に確認できます。
  2. 必要な壁量を1.25倍にする:許容応力度計算を行わない簡易的な計算の場合、地震力に対して必要とされる壁の量(必要壁量)を1.25倍に増やして設計することで、層間変形角の基準を満たしたとみなします。

② 耐震等級3と層間変形角の関係:「損傷しない」を目指す

「耐震等級3」は、建築基準法の1.5倍の地震力に耐える強度ですが、その本質は「倒壊しない」だけでなく、「大きな損傷を受けずに住み続けられる」ことを目指す点にあります。

建物が大きく変形すれば、構造材は無事でも、内外装の壁がひび割れたり、窓ガラスが割れたりといった損傷が発生します。こうした損傷を抑えるため、耐震等級3の設計(特に精密な許容応力度計算)では、層間変形角を建築基準法よりもはるかに厳しい1/200ラジアン以内に抑えることが一つの目安となります。

この「硬さ」が、準耐火構造の性能を地震後も維持し、結果として資産価値を守ることにも繋がるのです。

③ BELS・フラット35と層間変形角の間接的なつながり

では、この層間変形角は「BELS(省エネ性能)」や「フラット35(住宅ローン)」とどう関係するのでしょうか。

  • BELS:省エネ性能の評価であるBELSに、層間変形角の直接的な基準はありません。しかし、近年の高性能な住宅は、高い断熱性能(省エネ)、耐震性(耐震等級3)、そして火災安全性(準耐火構造)をワンセットで計画することが一般的です。層間変形角を考慮した質の高い構造設計は、こうした高性能住宅の土台となります。
  • フラット35:住宅ローン「フラット35S」の金利優遇を受けるためには、「耐震等級3」などの高い性能が求められます。私たちが許容応力度計算を用いて層間変形角を厳しくチェックし、信頼性の高い「耐震等級3」を取得することは、お客様がフラット35の金利優遇を受けるための確かな前提条件となるのです。

見えない部分の品質こそ、私たちのこだわりです

「層間変形角」は、お客様が普段目にすることのない、設計図面上の専門的な数値です。しかし、この数値をいかに厳しく管理し、設計に反映させるかが、地震後の安全性、火災時の安心、そして住宅ローンのお得さにまで繋がっていきます。

私たちコバヤシ工業は、こうした見えない部分の品質にこそ、プロとしてのこだわりと責任があると考えています。確かな設計力に裏打ちされた、本物の高性能住宅。ぜひ私たちにお任せください。

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