リノベーションは、既存の建物を現代のライフスタイルに合わせて再生する魅力的な手法です。しかし、特に古い木造住宅を対象とする場合、「構造の安全性」という避けて通れない課題があります。間取りの大幅な変更や耐震性能の向上を目指すとき、私たちコバヤシ工業は、経験と最新技術を融合させ、安心の答えを導き出します。
このコラムでは、リノベーションにおける構造計算の重要性と、当社が活用する木造BIMソフト「ARCHITREND」を用いた具体的なアプローチについてご紹介します。
1. リノベーションにおける構造計算の重要性
新築とは異なり、リノベーションでは「既存の構造躯体をどう活かすか、どう補強するか」が核心となります。
既存不適格への対応
築年数の経過した建物は、現行の建築基準法や耐震基準を満たしていない「既存不適格」となっているケースが多くあります。大規模なリノベーションを行う際、法令に基づいた適切な構造計算は、単に壁や柱の位置を決めるだけでなく、地震や台風に耐えうる性能を現行法レベルまで引き上げるための羅針盤となります。
間取り変更の可否判断
「壁を取り払って大空間にしたい」「大きな開口部を設けたい」といったご要望は多いですが、その壁や柱が建物を支える耐力壁である場合、安易な撤去は構造バランスを崩します。構造計算を行うことで、どの部材が重要で、撤去する場合にはどこをどのように補強すべきかを科学的に導き出します。
2. ARCHITRENDが実現する「リノベーション構造計算」
私たちコバヤシ工業が、ARCHITRENDを**木造BIM(Building Information Modeling)**ツールとして活用するのは、リノベーション特有の複雑な構造検討に強みがあるからです。
① 現状の正確な「可視化」と「データ化」
リノベーションの第一歩は、既存の建物の構造を正確に把握することです。ARCHITREND上で既存の柱、梁、耐力壁の位置や仕様をデジタルモデルとして再現することで、**「構造の現状」**を正確に可視化・データ化できます。これにより、設計者が頭の中で「思う」だけでなく、データに基づいて「考える」構造検討が可能になります。
② 既存と補強のシミュレーション
お客様の新しい間取りをモデルに入力し、撤去する壁や新設する開口部を設定します。ARCHITRENDの構造関連機能と連携することで、リノベーション後の構造体にどれだけの負荷がかかるか、どの箇所にブレースや金物による補強が必要かを3次元モデル上で詳細にシミュレーションできます。
特に、木造計画においては、木材の特性や接合部の納まりが重要ですが、BIMモデルを通して、補強計画が他の設備や意匠設計と干渉しないかを立体的にチェックできるため、現場での手戻りを最小限に抑えます。
③ 構造計算書としての信頼性
リノベーションによって構造体に変更を加える場合、建築確認申請の有無に関わらず、構造的な安全性を証明する計算書が不可欠です。BIMモデルに基づいた構造計算は、透明性が高く、建築基準法に則った検討結果として高い信頼性を持ちます。これは、お客様にとって「安心の裏付け」となります。
3. 安心のリノベーションは、経験と技術の融合から
コバヤシ工業は、長年の木造の現場監督経験と、ARCHITRENDのような最先端の設計技術、そして建築基準法を深く理解する知識を融合させています。
AIの時代において、データと技術の力は不可欠です。しかし、最終的に安心を創り出すのは、現場の状況を見極め、データだけでは解決できない納まりの課題を克服する、人間の知恵と経験です。
私たちは、お客様の「新しい暮らしの夢」を、構造的な安心という揺るぎない土台の上で実現します。リノベーションをご検討の際は、ぜひ構造の専門知識とBIM技術を持つ私たちにご相談ください。