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「返せる額」から逆算する住宅ローン:プロが導く黄金比率

2025.10.25
「返せる額」から逆算する住宅ローン:プロが導く黄金比率

導入:借りられる額と「返せる額」の決定的な違い

前回、私たちはコバヤシ工業の品質に見合う「総事業費」という強固な土台を確定しました。次に必要なのは、その総事業費を支えるお客様の**「家計の耐久性」**を構造計算することです。

金融機関が示す**「借りられる額」は、あくまで「銀行が貸しても法的に問題ない上限」**であり、お客様の生活の質や将来の資産形成を考慮していません。これは、建築基準法が定める「最低限の強度」に過ぎません。

コバヤシ工業が目指すのは、100年先を見据えた耐久性の高い家づくりです。資金計画においても、住宅ローン返済が原因で、将来の教育費や老後資金の計画が破綻してしまっては意味がありません。

今回は、この**「無理なく返せる額」**、すなわち家計の本当の耐久性を導き出すための具体的な計算式と、FPが推奨する黄金比率を解説します。

1. 家計の安全基準:「年間返済負担率」の適正値

家計の耐久性を測る最も重要な指標が**「年間返済負担率(Debt-to-Income Ratio, DTI)」です。これは、年収に占める年間ローン返済額の割合**を示すものです。

区分金融機関の上限目安コバヤシ工業×FPが推奨する適正値(耐久性重視)
返済負担率30% 〜 35%未満20% 〜 25%以下

【コバヤシ工業の推奨理由】

金融機関の基準(35%)でローンを組むと、手取り収入(額面年収から税金・社会保険料が引かれた額)の約3分の1が住宅ローンで消えることになります。この割合では、子育てやキャリアチェンジなど、人生の柔軟な対応が困難になり、家計が**「過重な負担」**に耐えられなくなります。**20%〜25%**であれば、将来の備えと現在の生活の質を両立できる、最もバランスの取れた「構造設計」となります。

2. 「手取り」と「未来」から逆算する月々返済可能額

額面年収ではなく、**手取り収入(可処分所得)**から逆算することで、よりリアルな「返済可能額」を算出します。

Step 1: 「未来の確実な支出」を固定費として計上する

現在の手取り月収から、生活費を引くのは当然ですが、FP視点では**「将来的に必ず発生する支出」**を先に固定費として確保することが重要です。

  • 教育費の積立: お子様の進学費用など、将来増加する支出を見越した積立額。
  • 老後資金の積立(NISA/iDeCo): 定年後の生活に備えるための資産形成額。
  • 車両費、保険料など: 現在または数年内に確実に発生する固定支出。

Step 2: 「住宅に割ける月額」を確定する

住宅に割ける月額 = 手取り月収 – 生活費・将来への積立・その他の固定支出

この「住宅に割ける月額」こそが、お客様の家計が無理なく継続して耐えられる月額の返済基準となります。

3. 見落とされがちな「ランニングコスト」の計上

木造住宅のプロであるコバヤシ工業だからこそ強調しますが、住宅の維持にはローン返済以外にも、定期的なコストが発生します。これも「住宅に割ける月額」の中で考慮すべき必須の費用です。

  • 固定資産税・都市計画税: 毎年発生。新築優遇が終了した後の税額を想定すべきです。
  • 修繕積立金(自己資金): 外壁塗装や防水工事など、約10〜15年ごとの大規模修繕に備えるための積立。月々1〜3万円をローン返済とは別に確保し、ローンの返済完了後も継続することが、建物の長寿命化には不可欠です。
  • 火災・地震保険料: 第4回で詳しく解説しますが、長期契約を前提に月々の費用に組み込みます。

【耐久性の定義】

真の家計の耐久性とは、ローン完済までの返済能力だけでなく、完済後の修繕費の確保まで見通すことで成り立ちます。

まとめ:耐久性のある家計構造こそが良質な住まいを実現する

第2回では、「返済負担率20%〜25%」という黄金比率と、「ランニングコスト」まで見据えた月々の理想支出から、無理のない借入額を逆算する方法を解説しました。

この計算で導き出された「返せる額」は、コバヤシ工業がお客様に提案する住宅の予算上限となり、その後の設計を左右する現実的な基準となります。

次回は、この「返せる額」を実現するためのローンの選び方、特に金利タイプや返済期間が家計の耐久性にどう影響するかを、リスク検証の視点から深く掘り下げます。

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